80円で

金曜日、Z会の通信教育を始めたばかりの長男が言った。「お父さん、Z会の回答を郵便で送りたいんだけど、俺、そもそも郵便で送ったことがあまりないから、どうしていいのかわからないので教えて」。そうか、いい心がけである。たわいもないことだけど、子供がやったことが無いということはたくさんある。郵便も、はがきに書いてポストに入れることはあっても、重さや大きさで料金が変わるようなことはやったことがない。Z会の説明書でも、解答用紙の枚数によって料金がこう変わるので必要な切手を貼れ、と書いてある。息子はどうしたもんかと思い、私に言ったらしい。

この前はクラブ活動で電車でちょっと離れたところに行ったのであるが、雨が降りそうだったので、「帰りは駅に着いたら公衆電話から電話しな。車で迎えに行ってあげるから」と言ったら、「公衆電話ってどうやってかけるの?」ときいて来た。そうだよな、今時の子供が公衆電話をかけることってないよな、と思い、かけ方を教えてあげた。今の子供って便利になりすぎて、逆に基本的なことを覚える機会が希薄になっているんだよな。最近、クラブ活動なんかで電車で出かけることが多くなったので息子用のSUICAを作ってあげたら、これ1枚でJR以外も乗れるし、コンビにでも買い物ができるということを知り、感動していた。

さて、Z会の回答を入れた封筒を持って息子と郵便局に行った。土曜日は本局しか開いていないので、車で本局に行った。ついでに次男と娘も付いてきた。最低80円は必要であるし、年賀状の当選切手である80円が大量にあるので、まずは何年前かわから無いけど馬の80円年賀切手を張り、後は窓口で確認と言うことにした。息子は、「どう言えばいいの?」と訊くので、「80円で大丈夫ですか?」と言えばいい、と回答。明らかに80円では足りないはずなので、「あと、いくらです」とか、「(トータルで) いくらです」と言う筈なので、80円との差額を払えばいい、と長男には伝えておいて。

窓口に着いた息子はかなり緊張していたらしい。なんたって、初めての郵便局である (郵便局に来たことは何度もあったが、自分が主体的にやらなければならないということは今日が始めてである)。

窓口で封筒を出して、息子は言った。「80円で」。

えっ?それは違いよ。「80円で」じゃなくて、「80円で大丈夫ですか?」だろう!「80円で」で切ったら、まったく意味は違うぞ!

あわてた私は、「80円で大丈夫ですか、だろう!」と後ろから訂正した。冷や汗モノである。

結局、92円だったので差額の12円を支払った。帰り道、長男は言った。「(差額の)お金を出せばいいんだ!知らなかったー」。ついでに次男も行った。「切手とお金は同じなの?」

生きていくためには、こういう基本的なことを家庭で教えないといけないのだ、ということを実感した今日であった。

夕日がきれいな一日だった。