国立天文台野辺山の特別公開 (2013)

今日は長野県の 国立天文台野辺山 の特別公開に行ってきました。ここに来るのは2回目。前回は2010年8月の3年前。長男はまだ記憶があるのですが次男は怪しい状況。娘は2歳なので当然記憶はありません。天気がとても心配されたのですが前日にたくさん降ったのか、当日は雨もふらず、太陽も出ないのでとても涼しく、行ってみてよかったと思います (多分、気温は25℃くらい)。

自動車で行く場合は天文台とはちょっと離れたつぶれたスキー場の駐車場に車を止めます。そこから会場までは無料のシャトルバスでの移動。前回は8:30発の最初のシャトルバスに乗ったと思うのですが、今回は2台目。早く行っても開場は9:30で、それまでは行列での待ちとなります。前回の記憶から急いだところであまり意味は無い、と思っていた私ですが、今回行ってみて、いや、これをやるためには早く行かなくてはならない、そして開場したらディズニーランドのようにダッシュしないといけない、ということがわかりました。それはともかくとして、やはり今回も行列ができています。全国から天文ファンが集まってきます (1年に1回の特別公開ですから)。我が家は天文ファンではありませんが、ここは非日常的なものを見ることができる、それも野辺山という自然に恵まれたところで、というのがいいところ。広い会場をゆっくりと歩きながら、(私もですが) あまり意味がわからないながらもなんか楽しい、という気持ちにさせてくれます。

さて、開場してまずは電波ヘリオグラフ観測棟で検波器製作の予約。製作は一日50名程度なので早めに行かないといっぱいになってしまいます。我が家(予約は一家で一人)は10:30からの回となりました。ちょっと時間があるので、まずは近くの 大阪府立大学 の1.85m電波望遠鏡に。

前回もそうですが特別公開当日はスタンプラリーをやっており、各地をまんべんなく回るように工夫されています。大阪府立大学の1.85m電波望遠鏡ははずれにあり、おそらくこのような特別公開の時でもスタンプラリーが無いと行かないような場所です。前回も行ったのですが、前回は天文学だったか物理学だったか忘れましたが図鑑のようなものを並べて、これは私が書きました、と言っていた教授らしき方が熱く語ってくれましたが、今回は学生さん(?)がパネルを前にして熱く語ってくれました。でも、話があまりにハイレベルで我ら一家の頭の中には???しか浮かびません。電波望遠鏡の準備ができたというので、早々にヘルメットをかぶって中に入りました (説明していただいた方、ごめんなさい)。
前回はタイミングが悪かったのか説明も無く入って終わりでやけに狭いなぁ、というだけで終わったという記憶しかありませんが、今回は可愛い女性が懇切丁寧に説明してくれました。なるほど、大阪府立大学がここに場所を借りて独自に観測しているのか、大阪からリモートで操作ができるのか、富士山測候所のようなドームにはなっているけれど電話を通すドームで、中にはやはりパラボラアンテナが入っているのか (1.85m電話望遠鏡は小さいので風等の影響を受けるためドームで覆っている)、など、よくわかりました。物理学的な仕組みはよくわかりませんが (高校や大学時代の聞いていれば少しはわかるか?) 正直、前回の印象からスタンプラリーのスタンプをもらうために行ったのですが、それなりに理解できればおもしろいところで、見る目が変わりました。私の中では、今回の特別公開の中で記憶に残った No.1 かもしれません。
ドームの中で説明してくれた女性(院生?)のように、子連れの親子に対しては物理を熱く語らずにやわらかい話をしてくれたほうが興味をそそると思います。終わった後、娘が言ってました。「あのお姉さん、大変だね。ずっとあの中で説明してるんだ。」と。確かにそうですが、自分がやっている仕事の成果を説明し、理解してもらうということは大切なことです。どんなにいい仕事をしてもそれを評価してもらわなかったら何もなりません。そういう意味では、相手の科学レベルを見極め話の内容を切り替えるという練習も、科学者であっても卵のうちにやっておくことはいいことだと思います (もっともこの望遠鏡の場合、運営は学生主体でやっているということなので、それはとれもいいことだと思います)。

さて、検波器製作までまだ少し時間があったので、こんな非日常的な風景の中、しばし散策。

さて、検波器製作。家族で一人ということなので、次男が挑戦。というか、本人は嫌だ、と言っていたのを無理やり、やらせました。たいてい、この手のものがあると次男は「俺はいい」と言って避けるので、ダメだ、今回はあなたの夏休みの自由研究のために来たんでしょ!とこっちも引かずにやらせました。最初はダイオードだとコンデンサだの、頭を抱えていた次男。ハンダゴテを使うのも初めて。

でも、だんだん、出来上がってくると面白くなってきた模様。

生まれて初めてニッパなんかも使いました。

あと1本、ハンダ付けすると完成のところまで来ました。なかなか大胆なハンダ付けですが、生まれて初めてなので許してやってください。

で、ここで面白い、というか、やるのであればここまでやらないとね、なのですが、せっかく作った検波器。これを使って実際に太陽からの波を捕まえてみます。スタッフの人に機械にセットしてもらい、自分でパラボラアンテナを動かして太陽を探します。すると、オシロスコープに波形が写り太陽発見、というわけです (と、思うのですが、物理学頭ではない私にはよくわかりません)。

そしてオシロスコープのプリントアウトをもらい、好きなシールを選んでそれを台紙に貼ってもらい記念品としていただきます。最初はとても嫌そうだった次男もとても嬉しそうです。もちろん、物理学的な説明など理解できるはずはないので、どちらかというとハンダ付けした作品がうまくいったみたいだ、ということのほうが嬉しかったのでしょうけど、こういう小さな喜びが、将来の大きな喜びにつながるのではないかな、ということで、親としてはあちこちに連れだしているのです。

製作の後は見学三昧。
「パラボナで遊ぼう」では50m(?)くらい離れた向かい合わせのパラボナアンテナの一方でのひそひそ話が一方にもはっきりと伝わる、ということで波が伝わるということを体験させたり

「ミニチュア望遠鏡を操作してみよう」では望遠鏡を操作して電波をキャッチすると音楽が鳴ったり

野辺山最大の45M電波望遠鏡に触ってみたり (こう見ると大した大きさには見えませんが、実に巨大)

分子雲と称するわた菓子を無料で食べさせたりくれたり(大人も!)

理屈がわからない子供にとっても十分に楽し無事ができました。最後にスタンプラリーの景品をもらって本日のイベントは終了。3年末に来た時は子供も小さかったしこちらもいっぱいいっぱいだったので余裕がありませんでしたが、今回は結構、ゆっくりできました。3年前と基本は同じで、もしかしたらほとんど何も変わっていないのかもしれませんが、休憩所も増え、イベントも質、量ともにグレードアップしたように思えます。国の施設なので無料は当然としても、こうして積極的に公開する姿勢は評価できます (なお、今回は特別公開であって、基本的に常にオープンしています)。

会場を後にして、帰りのシャトルバスに乗る前に隣接している 南牧村農村文化情報交流館 に登り、天文台を一望。